編者の編み物11

黄墨会展が無事に終わり、通常の教室が再開しました。

ある生徒さんが、新しい筆を使い始めました。

「弘法筆を選ばず」という言葉もありますが、筆は消耗品でもあるので、時期が来たら新しいものを使うことも重要です。

筆は日々使うので、長年使うと愛着が出てくるものですが、新しい筆は、墨の濃淡が出しやすく、紙の上での滑りも良いようです。

微妙なコンディションの違いは、絵を描く本人にしかわからないものですが、ほんの少しの違いでも、それは絵に現れてくるようです。

筆と同じく紙も、変化が大きいものです。

「紙は生きている」と言われるように、実際に、季節によって具合が違います。

梅雨時は湿度が高いため、紙によっては、墨の乗りが良かったり、より滲みやすかったりするものです。

筆と紙、墨と硯、道具の組みあわせには、いろいろな条件があるかもしれません。

そこに水墨画を描く自分という条件も加えて、日々の練習で調整して、少しずつ自分らしい絵が描けるようにしていきたいですね。