編者の編み物3

黄墨会には、故 相田 黄平先生の時代から入会されている、画歴30年を超える方も多くおりますが、新しく入会される方の中には、初めて筆を持つという方も多くいます。

初めての方は、墨の摺り方や筆の持ち方、筆の運び方などを、竹を描きながら学んでいきます。竹の節のつくりや葉の形など、普段の生活では気にも留めないようなことを、いざ墨だけで表現しようとなると、難しいと感じてしまうものです。

最初は、水墨画ならではの筆遣いや、墨の濃淡をうまく出すことばかりに気が入ってしまい、何度描いても、なかなかうまく描けないと思ってしまうことが多いようです。しかし、竹の葉の一枚でも、自分で納得がいく筆遣いや濃淡の表現ができれば、今日一日の学びがあったと言えるのかもしれません。

この生徒さんは、竹と梅を終えられて、新しく椿に入られました。

先生の筆遣いやお手本を見ながら、教室で一つでも二つでも学ぼうとする姿勢からは、席を並べて学ぶ者として、「初心忘るべからず」という言葉を投げかけられているようで、お互いに学ぶことが多いです。

そうした日々の積み重ねが、いつか自分らしい、立派な水墨画を描くための一歩になっていくのでしょう。